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鈴木秀光・著作目録 (2018年3月現在)

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Ⅰ 論文

1. 「詳結──清代中期における軽度命盗案件処理」、『法学』63巻4号、98~135頁、1999年10月。[pdf]

最初に書いた論文。従来、刑罰が笞杖相当の事案は自理として処理されたと考えられていたが、笞杖相当でも命盗案件の場合は書面を用いた覆審の対象となる場合があり、そうした手続が詳文により事案を完結することから時に詳結と呼ばれてたことについて、省例等の史料を中心に論じたもの。

2. 「杖斃考──清代中期死刑案件処理の一考察」、『中国──社会と文化』17号、149~173頁、2002年6月。 [pdf]
【中文版】娜鹤雅译「杖毙考──清代中期死刑案件处理的一考察」、張世明他編『世界学者论中国传统法律文化』法律出版社、209~234頁、2009年12月 [pdf]

死刑関係その1。成文法に規定が無いものの実質的に死刑として用いられていた杖斃について、それを官僚が選択する際に専断として行っていたのではなく、上司や皇帝の了解、さらには推奨する形で行なわれていたことについて、奏摺等の史料を用いて論じたもの。

3. 「恭請王命考──清代死刑裁判における「権宜」と「定例」」、『法制史研究』53号、47~80頁、2004年3月。 [pdf]
【中文版】吕文利,袁野译「恭请王命考——─清代死刑判决的“权宜”与“定例”」、『内蒙古师范大学学报(哲学社会科学版) 』2009年4期、23~37頁、2009年7月 [pdf]

死刑関係その2。条例に規定が存在する皇帝の裁可を要さない例外的な死刑の方法である恭請王命について、それが条例に規定される以前から「権宜」として皇帝も容認する形で行なわれ、そうした個別対応が先行する形で督撫と皇帝との間で安定的な実務が行なわれた部分について、後日に明文規範に組み込まれていったことを論じたもの。

4. 「清末就地正法考」、東京大学『東洋文化研究所紀要』145号、1~56頁、2004年3月。 [pdf]

死刑関係その3。清末において章程などで就地正法と称される手続を考察し、道光末年に暫定的に行われたものは省都への解審を省く恭請王命であったこと、咸豊三年に行われたものは即決による厳罰化を企図するも具体的な手続規定を欠いていたこと、同治から光緒における就地正法は咸豊年間の延長上に位置づけられるものの、各省が中央との間で個別に章程を定めて手続を規定することが主流であり、そうした趨勢の一段階として光緒八年章程が存在したことなどを論じたもの。

5. 「「請旨即行正法」考──清代乾隆・嘉慶期における死刑裁判制度の一考察」、『専修法学論集』98号、1~51頁、2006年12月。 [pdf]

死刑関係その4。律例で監候と定擬した上で加重要素を持たせるために立決同様に即時執行とすることを皇帝に要請する「請旨即行正法」について、乾隆期においては皇帝と官僚との間の個別的な対応として行われたものが、嘉慶期になると一つの手続といった形で用いられたことについて論じたもの。

6. 「清代刑事裁判における「従重」」、『専修法学論集』104号、45~93頁、2008年12月。 [pdf]

清代において、律例の規定を前提に加重して処罰する「従重」と呼ばれる手法について、その加重の程度は基本的に同一の刑種内における加重に止まっていたこと、また歴代皇帝は原則としてそれを禁止していたが、事案の内容によっては皇帝がそうした対応を官僚に求めることがあったことなどを論じたもの。

7. 「「獄成」の現場──清代後期刑事裁判における罪状自認と衆証」、鈴木秀光・高谷知佳・林真貴子・屋敷二郎編『法の流通──法制史学会60周年記念若手論文集』慈学社、267~299頁、2009年12月。 [pdf]
【中文版】「「獄成」之現場──清代後期刑事審判上的認罪口供和眾證」、台灣法制史学会・中央研究院歷史語言研究所『法制史研究』第16期、245~279頁、2009年12月 [pdf]

清代の刑事裁判における事実認定の安定的状態たる「獄成」を達成するにあたっては罪状自認を得ることを要したという理解に対して、罪状自認が得られない場合でも関係者の証言たる衆証や時には輿論によって処罰に持ち込む場合もあったなど罪状自認を得ることが必ずしも原理的に求められてはいなかったこと、また罪状自認を得ることは翻異や上控を抑えるなど上申段階における事案の安定的処理に資するものであったことなどを論じたもの。

8. 「鎖帯鉄桿・鎖帯石礅と清代後期刑事裁判」、『法学』75巻5号、174~239頁、2012年1月。 [pdf]
【中文版】黄琴唐译「锁带铁杆、锁带石礅与清代后期的刑事审判」、周东平・朱腾主编『法律史译评(2013年卷)』中国政法大学出版社、284~326頁、2014年11月 [pdf]

清代の嘉慶期以降に行われ、律例にも規定された刑罰である鎖帯鉄桿・鎖帯石礅について、その内容や導入過程を解明するとともに、その律例における規定のあり方を踏まえて清代後期における刑事裁判の特徴について論じたもの。

9. 「清代刑事裁判における州県官の対応に関する一考察──淡新檔案の盗案の科刑事案を一例に」、『法制史研究』62号、35~84頁、2013年3月。 [pdf]

淡新檔案における窃盗や強盗の科刑事例について「通詳」「法廷審理」「刑罰の判断」の各段階を検討し、州県官の対応は上司の関与の有無で異なっていたことを解明するとともに、州県官は上司から依拠を求められる法や制度よりもむしろ上司の意向そのものを考慮していたことを示し、それらを踏まえて刑事裁判において州県官が取り得る選択肢の広がりを論じたもの。

10. 「清代嘉慶・道光期における盗案の裁判」、『専修法学論集』121号、1~48頁、2014年7月。 [pdf]

嘉慶から道光期において、裁判に携る官僚は、犯罪の増加に伴い従来のままでは対応が困難となっており、何らかの対策が必要であることを指摘しているが、そうした対策としていかなることが行われていたかを紹介するとともに、それらを踏まえて嘉慶・道光期における盗案の裁判の特徴を論じたもの。


Ⅱ 書評・紹介、その他

1. 「討論から(加藤雄三報告「水利を巡る紛争事例への歴史からのアプローチ」)」、『人間―環境系ニューズレター』5号、9~12頁、2004年2月。 [pdf]

内容紹介

2. 「書評:太田出著「「自新所」の誕生──清中期江南デルタの拘禁施設と地域秩序」」、『法制史研究』53号、258~261頁、2004年3月。 [pdf]


3. 「書評:上田信著「封禁・開採・弛禁──清代中期江西における山地開発」」、『法制史研究』54号、194~197頁、2005年3月。 [pdf]


4. 「書評:森田成満著「清代の命盗事案における法源と推論の仕組み」」、『法制史研究』55号、258~259頁、2006年3月。 [pdf]


5. 「学界回顧 東洋法制史」(中国部分)、『法律時報』79巻13号、320~322頁、2007年12月。 [pdf]


6. 「学界回顧 東洋法制史」(中国部分)、『法律時報』80巻13号、308~310頁、2008年12月。 [pdf]


7. 「書評:森田成満著「清代法に於ける同謀共殴致死事案の処罰の仕組み」・同「清代刑法に於ける共同犯罪」・同「清代刑法に於ける自殺関与者の罪責」」、『法制史研究』61号、292~295頁、2012年3月。 [pdf]


8. 「パートⅠ「収斂する法──秩序形成の諸相」総説」、鈴木秀光・高谷知佳・林真貴子・屋敷二郎編『法の流通──法制史学会60周年記念若手論文集』慈学社、12~17頁、2009年12月。 [pdf]



9. 「台湾における清代法制史関連史跡の探訪──官方関係を中心として」、『法史学研究会会報』14号、93~100頁、2010年3月。 [pdf]

台湾渡航時あるいは滞在時に訪れた広い意味における清代法制史関連史跡を紹介するもの。

10. 「“The Punishments of China” 簡介」、『東洋法制史研究会通信』23号、1~6頁、2013年3月。

19世紀初頭にロンドンで出版された、当時の中国の刑罰を銅版画と文章で紹介する“The Punishments of China”を簡単に解説したもの。

11. 「講演記録:〈記念講義〉清代中期における軽度命盗案件の裁判手続――「詳結」を中心として――」、『専修大学法学研究所所報』48号、29~42頁、2014年3月。 [pdf]

2013年に上記論文1の内容を南開大学で講演した際の原稿を日本語で活字化したもの。

12. 「東洋法制史教育の経験と課題」、『東洋法制史研究会通信』25号、6~7頁、2014年4月。

学部における講義経験としてビジュアル資料の活用などについて簡単に解説したもの。

13. 「書評:中村正人著「清代初期における過失殺事例の紹介と若干の検討」、『法制史研究』64号、388-390頁、2015年3月。 [pdf]